

REPORT
〈コラム〉
観光分野では、「観光戦略」という言葉が頻繁に使われます。
一方で現場では、
戦略を作ったはずだが、現場で使われていない
計画書はあるが、施策が場当たり的になっている
毎年同じ議論を繰り返している
といった状況も少なくありません。
それは、観光戦略が「何を決めるものなのか」が、
十分に共有されないまま進められているからかもしれません。
本記事では、観光デザイン研究所の視点から、
観光戦略とは本来何を決めるためのものなのかを整理します。
観光戦略は、しばしば
「計画書をつくること」と同義で捉えられがちです。
数十ページの報告書
施策一覧の羅列
理念的なビジョン
しかし、こうしたアウトプットがあっても、
日々の意思決定に使われない
現場で参照されない
施策の優先順位が決まらない
という状態では、戦略は機能しているとは言えません。
観光戦略の役割は、
「何をやるか」を直接決めることではありません。
それ以前に、
何をやらないのか
どこに集中するのか
を明確にすることにあります。
観光戦略とは、
施策を選び取るための判断軸を定める行為だと言えます。
観光戦略を機能させるためには、
最低限、次の5つの視点を整理する必要があります。
どの国・地域・層を主な対象とするのか
「すべての人」を対象にしていないか
ターゲットが曖昧な戦略は、
結果的に施策も曖昧になります。
その地域ならではの強みは何か
他地域と比べて、選ばれる理由は何か
「あるもの」ではなく、
「伝えるべき価値」を整理することが重要です。
旅行者は、どの地域と比較しているのか
同じ市場で競合する地域はどこか
競合を意識しない戦略は、
自己満足に陥りやすくなります。
人材、予算、組織体制
地域内で担えること、外部に頼ること
戦略とは、
理想と現実のあいだに線を引く作業でもあります。
短期で見る指標
中長期で見る指標
KPIが定まらなければ、
戦略は評価も改善もできません。
観光戦略が機能している地域では、
施策の優先順位が明確
判断が早い
担当者が変わっても方向性がぶれにくい
といった特徴が見られます。
一方、戦略が形骸化している地域では、
その場しのぎの施策が増える
成果の評価ができない
「去年と同じこと」を繰り返す
という状況に陥りがちです。
重要なのは、
戦略は一度決めたら終わりではないという点です。
市場環境は変わる
社会情勢は変わる
地域の状況も変わる
だからこそ、観光戦略は
定期的に見直され、更新される前提で設計されるべきです。
観光デザイン研究所では、
観光戦略を「考えるフェーズ」と「動かすフェーズ」に分断しません。
現場で使われるか
意思決定に役立つか
実装につながるか
これらを重視しながら、
実装と改善を前提とした戦略設計を行います。
戦略は、
描くためのものではなく、
使われてこそ意味があるからです。
観光戦略とは、
施策を増やすためのものではありません。
地域がどこに向かい、
どの価値を育てていくのかを定めるための
羅針盤です。
観光デザイン研究所では、
観光戦略を起点に、
マーケティングやプロモーション、事業づくりが
一貫して機能する状態を目指しています。