

REPORT
〈コラム〉
「観光地域づくり」という言葉は、いまや多くの自治体やDMOで使われています。
計画策定、協議会設置、ワークショップ開催など、取り組みの数も増えてきました。
一方で現場では、
立派な計画はできたが、実行されていない
会議は続いているが、現実はあまり変わらない
何のための地域づくりなのか分からなくなっている
といった声も少なくありません。
なぜ観光地域づくりは、志は高いのに、形骸化しやすいのでしょうか。
観光地域づくりは、外から見ると進んでいるように見えます。
計画書がある
組織体がある
定期的な会議や検討の場がある
しかし、これらはあくまで「形式」です。
形式が整っていることと、実際に地域が変わっていることは、必ずしも一致しません。
観光地域づくりが形骸化する多くのケースでは、
「やっている感」と「実態」のあいだに大きなギャップがあります。
観光地域づくりでは、
多様な関係者の合意形成が不可欠です。
しかし、合意形成が重視されるあまり、
反対が出ないことが最優先になる
方向性が曖昧なまま進む
誰も責任を持たない結論になる
という状況に陥ることがあります。
結果として、
「みんなが賛成するが、誰も本気で動かない」
という計画が生まれてしまいます。
観光地域づくりの現場では、
ワークショップを開くこと
計画を作ること
会議を継続すること
が目的化してしまうケースが少なくありません。
本来の目的は、
観光を通じて地域がどう変わるのか
どんな価値を育てたいのか
であるはずです。
手段が目的にすり替わると、
地域づくりは「作業」になり、次第に熱量を失っていきます。
計画書の中には、
「推進する」
「検討する」
「連携を図る」
といった言葉が並びがちです。
しかし、
誰が
いつ
どこまで責任を持つのか
が明確でない計画は、実行されません。
観光地域づくりが形骸化する最大の要因の一つは、
実装主体が曖昧なまま計画が進んでしまうことにあります。
では、観光地域づくりを
「形骸化」ではなく「変化」につなげるためには、
何が必要なのでしょうか。
最初から完璧な計画を目指す必要はありません。
小さな実証
限定的なエリア
特定のターゲット
から始め、
実際に動かしながら検証することが重要です。
動かない計画より、
動きながら修正できる取り組みの方が、
結果的に地域を変えていきます。
観光地域づくりが続かない理由の一つは、
事業としての視点が弱いことです。
誰の収益になるのか
人材はどう育つのか
継続するための仕組みはあるのか
これらを考えないままでは、
補助金や制度が終わった瞬間に取り組みも終わってしまいます。
関係者が多いからこそ、
何を優先するのか
何をやらないのか
という判断軸を共有する必要があります。
その役割を果たすのが、
観光戦略と観光マーケティングです。
観光デザイン研究所では、
観光地域づくりを
計画をつくるプロセス
ではなく、
価値が循環し続ける仕組みを育てるプロセス
として捉えています。
そのために、
構想
実装
改善
を切り離さず、
現場で回り続ける形を重視しています。
観光地域づくりが形骸化するのは、
地域に熱意がないからではありません。
多くの場合、
「動かす設計」まで落とし込めていないだけです。
観光デザイン研究所では、
観光地域づくりを理念で終わらせず、
現場で変化が生まれるところまで、
地域とともに取り組んでいきます。