

REPORT
〈コラム〉
「観光客数を増やしたい」
多くの地域で、この言葉が繰り返し語られています。
新しいイベントを企画し、
SNSや広告で情報発信を行い、
話題づくりに取り組む。
それでもなお、
観光客数が思うように伸びない
一時的に増えても、翌年には戻ってしまう
何を変えればいいのか分からない
という状況に陥る地域は少なくありません。
なぜ、これほど努力しているにもかかわらず、
観光客数は伸び悩んでしまうのでしょうか。
観光客数が伸びない理由を、
「発信が足りない」「魅力が知られていない」
と捉えてしまうと、解決策は施策追加に偏ります。
しかし実際には、
施策の量ではなく、構造の問題であるケースがほとんどです。
観光客数が伸び悩む地域には、
共通する「構造課題」が存在しています。
最も多い構造課題は、
ターゲットが明確に定義されていないことです。
誰に来てほしいのか
どの市場を優先するのか
これが曖昧なまま、
「幅広く発信する」
「とにかく多くの人に知ってもらう」
という姿勢になってしまうと、
結果的に 誰にも刺さらない観光 になります。
観光客数が伸びている地域ほど、
「誰を取りに行くのか」を明確に決めています。
二つ目の構造課題は、
地域の価値が適切に言語化されていないことです。
魅力はあるが、説明できない
「自然が豊か」「食がおいしい」で止まっている
他地域との違いが伝わらない
この状態では、
観光客は「行く理由」を見出せません。
価値とは、
地域の中では当たり前でも、
外から見れば十分に魅力になり得るものです。
それを 誰に向けて、どの言葉で伝えるか。
ここが整理されていない地域は、
観光客数を伸ばしにくい傾向があります。
三つ目の構造課題は、
「知る」から「来る」までの導線が設計されていないことです。
情報は見たが、次に何をすればいいか分からない
予約・移動・体験のイメージが湧かない
現地でどう過ごせるのか想像できない
この状態では、
関心があっても行動にはつながりません。
観光客数が伸び悩む地域では、
プロモーションと受け皿が分断されていることが多く見られます。
これら3つの構造課題は、
表面化しにくい
数値で見えにくい
合意形成が難しい
という特徴があります。
そのため、
短期的に分かりやすい施策に置き換えられ、
根本課題が先送りされがちです。
しかし、
構造に手を入れない限り、観光客数は持続的に伸びません。
観光客数を増やすために、
最初にやるべきことは施策追加ではありません。
誰をターゲットにするのか
どの価値で選ばれるのか
どうやって来訪まで導くのか
この3点を、
戦略・マーケティング・プロモーションを横断して整理することです。
ここが整理されて初めて、
施策は意味を持ち始めます。
観光デザイン研究所では、
観光客数を
目的そのもの
ではなく、
構造が機能した結果として現れる指標
として捉えています。
観光客数だけを追いかけるのではなく、
その背景にある構造を整えること。
それが、持続的な増加につながります。
観光客数が伸び悩むのは、
地域に魅力がないからではありません。
多くの場合、
その魅力が、届く構造になっていないだけです。
観光デザイン研究所では、
観光客数の増減という結果だけでなく、
その背景にある構造を捉え直し、
地域とともに設計し直す支援を行っています。