REPORT 

〈コラム〉

観光客数が伸び悩む地域に共通する3つの構造課題

表面的な施策では解決しない理由

「観光客数を増やしたい」
多くの地域で、この言葉が繰り返し語られています。

新しいイベントを企画し、
SNSや広告で情報発信を行い、
話題づくりに取り組む。

それでもなお、

  • 観光客数が思うように伸びない

  • 一時的に増えても、翌年には戻ってしまう

  • 何を変えればいいのか分からない

という状況に陥る地域は少なくありません。

なぜ、これほど努力しているにもかかわらず、
観光客数は伸び悩んでしまうのでしょうか。


観光客数の問題は「施策の数」ではない

観光客数が伸びない理由を、
「発信が足りない」「魅力が知られていない」
と捉えてしまうと、解決策は施策追加に偏ります。

しかし実際には、
施策の量ではなく、構造の問題であるケースがほとんどです。

観光客数が伸び悩む地域には、
共通する「構造課題」が存在しています。


構造課題①|ターゲットが存在していない

最も多い構造課題は、
ターゲットが明確に定義されていないことです。

  • 誰に来てほしいのか

  • どの市場を優先するのか

これが曖昧なまま、

  • 「幅広く発信する」

  • 「とにかく多くの人に知ってもらう」

という姿勢になってしまうと、
結果的に 誰にも刺さらない観光 になります。

観光客数が伸びている地域ほど、
「誰を取りに行くのか」を明確に決めています。


構造課題②|価値が言語化されていない

二つ目の構造課題は、
地域の価値が適切に言語化されていないことです。

  • 魅力はあるが、説明できない

  • 「自然が豊か」「食がおいしい」で止まっている

  • 他地域との違いが伝わらない

この状態では、
観光客は「行く理由」を見出せません。

価値とは、
地域の中では当たり前でも、
外から見れば十分に魅力になり得るものです。

それを 誰に向けて、どの言葉で伝えるか
ここが整理されていない地域は、
観光客数を伸ばしにくい傾向があります。


構造課題③|来訪までの導線が設計されていない

三つ目の構造課題は、
「知る」から「来る」までの導線が設計されていないことです。

  • 情報は見たが、次に何をすればいいか分からない

  • 予約・移動・体験のイメージが湧かない

  • 現地でどう過ごせるのか想像できない

この状態では、
関心があっても行動にはつながりません。

観光客数が伸び悩む地域では、
プロモーションと受け皿が分断されていることが多く見られます。


なぜこれらの課題は放置されやすいのか

これら3つの構造課題は、

  • 表面化しにくい

  • 数値で見えにくい

  • 合意形成が難しい

という特徴があります。

そのため、
短期的に分かりやすい施策に置き換えられ、
根本課題が先送りされがちです。

しかし、
構造に手を入れない限り、観光客数は持続的に伸びません。


観光客数を伸ばすために、まずすべきこと

観光客数を増やすために、
最初にやるべきことは施策追加ではありません。

  • 誰をターゲットにするのか

  • どの価値で選ばれるのか

  • どうやって来訪まで導くのか

この3点を、
戦略・マーケティング・プロモーションを横断して整理することです。

ここが整理されて初めて、
施策は意味を持ち始めます。


観光デザイン研究所が考える「観光客数」という指標

観光デザイン研究所では、
観光客数を

目的そのもの
ではなく、
構造が機能した結果として現れる指標

として捉えています。

観光客数だけを追いかけるのではなく、
その背景にある構造を整えること。
それが、持続的な増加につながります。


おわりに

観光客数が伸び悩むのは、
地域に魅力がないからではありません。

多くの場合、
その魅力が、届く構造になっていないだけです。

観光デザイン研究所では、
観光客数の増減という結果だけでなく、
その背景にある構造を捉え直し、
地域とともに設計し直す支援を行っています。